Vol.5 「信頼」できる相手とは これができる人だと思う

「『継続は力なり』は人間関係にも言えること」

今の時代、信頼を築き上げるのは大変ですよね。悩んだらAIに相談する人が多いんでしょ? AIが代わりに考える時代で、自分で判断しない人が増えて行くだろうなと感じます。道具として使いこなすだけならいいんです。でも、依存するとそれは人生でも仕事においても非常に危ない。10人中8人が、悩むことをAIに依存して楽な方へ流れても、残りの2人は自分の言葉を選び、自分のやり方で進み、決断するはずです。僕はその「2人」でありたいし、そういう人間と仕事をしたい。自分たちの関係性をもしかしたらAIに任せているかもしれない「8人」の人のことを、あなたは信頼できますか? 僕は無理。

みんな辛いことや面倒なことを避けようとしますが、それでは強い信頼は得られません。松下幸之介の伝説にあるように、時代錯誤だと言われても、人生において何回かは「血の出る思い」をしないといけない。例えば、ムレスナ・ジャパンのコンセプトカラーは赤ですが、アンセルムは反対でした。でも僕は「日本ではこれじゃないとダメだ」と言い切り、売上という結果を出して信頼され、真っ向勝負をして本当の絆が生まれたんです。信頼できる人を見極めるのは、確かに難しい。僕の判断基準は、一つのことに真面目に取り組む人かどうか。それは日々の積み重ねを疎かにしないことを意味しますから、人間関係にも現れます。簡単に物事を捨てたり諦める人は、人間関係だってそうするからね。僕はこれまでに裏切られたり、欲に溺れて自滅していっ人をたくさん見てきました。だからこそ、仕事の取引でも、相手をみる時この視点を忘れません。


「信頼は欲を出すと壊れる」

信頼って得るのは難しいけれど、損なうのは一瞬。仕事においては、それは「欲」に駆られた時だと僕は実感します。欲を出しすぎて信頼を失うことって、人間関係にもあると思いますから、皆さんも気をつけてください。ムレスナ・ティーは品質が高いので、価格が少し高くても買うよと言ってくれる「信頼」が出来上がるわけです。でも、これに欲を出して、クオリティを下げて高く売るという商売をすれば、一瞬で取引先はもちろん、ムレスナ・ティーのファンの信頼もこっぱみじんになります。だから僕は、そういう欲を出さず、誠実に紅茶と向き合い「低価格でたくさん売って儲ける」という仕事はしません。そのほうが楽だけれどね。

僕、66歳ですけど新たにWebサイトを立ち上げて、自分の言葉で発信するという決断をしたのは、根底にある「真実」を伝えたいからです。そりゃ面倒だし、費用もかかるし、しんどいけれども「1日1人でも喜んでくれる人を作ること」を修行だと思ってるから、この連載が誰か1人にでも届いたらそれでいいんです。そしてそれは、ムレスナ・ティーとお客さんの信頼関係が生まれるってことだよね。信頼関係が生まれるプロセスには、必ずしんどいことがあります。でも、それを「しんどいから」と逃げるのではなく、繰り返しを嫌がらず、突き詰め、誠実に向き合い続ける。そうしていれば、信頼される人になり、信頼される仕事が生まれるんだと思います。一口飲んで「美味しい!」と驚いてくれるお客さんの笑顔のために、僕はこれからも信頼を裏切らない、オーソドックスで最高な、信頼される紅茶を届け続けます。

 

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