vol.3 紅茶の適正価格とは?

「紅茶に注がれる膨大な労力とスキル」

紅茶の価格が高いという人もおられますが、そもそも適正価格ってどんなものかをご存知でしょうか? ファッションの世界にもハイブランドがあるように、紅茶の世界にもあります。「高いから美味しい」というものでは必ずしもないと思っていますが、でもいい茶葉はある程度価格が上がってしまう。その理由を話しましょう

例えば、「美味しいディンブラを調達する」としましょう。ちなみに、ディンブラというのは茶木の品種じゃなくて、産地の名前。だから、ブランドによって同じディンブラでも全然味が違います。1つの農園で最高の茶葉を調達するのは難しいので、「これぞムレスナが提案する最高のディンブラ」という味を決めて、その味になるように数種類の茶園から茶葉を買い付けてブレンドするんです。ここで大事なのは、良い茶葉を調達できるブランド力と資金力。さらに、「これがディンブラの美味しさだ」という味を明確に理解し、ブレンドしてその味にピッタリと調整するブレンダーの能力の高さ。しかも、買い付けた時だけではなく、日本へ輸送された時のことも考えて味を決めるんです。ムレスナ社にはそのすべてがあります。

だから言い方を変えれば、前述の条件を満たせない場合は、「どこそこ茶園の美味しいディンブラ」というのを買ったまま提案するのは、ある意味楽でいい。もちろん、私たちもそういう特別に美味しい茶園の茶葉をイレギュラーに販売することもあります。でもトップクオリティのセイロンティーを提案するプロだから、大量に安定して美味しい茶葉を供給するために、このブレンドスキルがものを言うんです。だからディンブラ一つとっても、ものすごい労力とスキルが費やされているんです。

 

「紅茶のブレンドは高級煎茶と一緒」

実はこの方法は、日本の高級煎茶のブレンドや、老舗和菓子店が餡作りのために小豆を選ぶ作業と同じなんです。「自分たちが目指す味」のために、最良のものを調達し、その味になるようにブレンドする。ただの目利きじゃなく、それを活かすスキルがないとダメ。ブレンドすることで味を深め、安定させるんです。

今は残念ながら、円安で茶葉の値段は必然的に上がりました。でもより美味しい紅茶を飲んで幸せになって欲しいから、私たちは「安い茶葉をブレンドして価格を下げる」と言うことはしません。この話を理解してくだされば、納得してもらえると僕は信じています。「ものが売れない時代なのに」て言われますが、売れない時代だからこそ、分かってくれる人たちに向けて提案し続けていきたいんです。

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